私たちが大切にするべきものは何だろう? 大切にするってどういうこと? 日々を綴る中で、片鱗に触れられたら幸せです。

芦浜原発を止めた町

今日は芦浜原発を止めた町の講演会に行ってきました。候補地が芦浜に決定した日から50周年という節目に当たります。


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芦浜は、紀勢町の錦という地域と南島町の古和浦という地域の間にあり、南島町は37年にわたって反対運動を続けてきました。親、子、孫の世代と闘いをつづけ、白紙撤回になったのは2000年のこと。

今回の講演会では、中心になって反対運動を行ってきた地元の3名を中心にお話を伺いました。

何よりショックだったのは、原発が立ったわけでもなく、計画が浮上しただけなのに、ここまで地域社会が、人間性が、壊されてしまったという現実です。

子供がこけてもすぐには助けず、反対派か賛成派か顔を見てから動く。

人が亡くなった時、反対派か賛成派が減ったと言って人が喜ぶ。

毎日届く大量の荷物、夜中の無言電話・・・。

お話くださった主婦の方は、途中から原発との闘いというより、金との闘いだった、と言っていました。


私の頭には、ルワンダ虐殺が浮かびました。

もともと地域で仲良く暮らしていた人々が相手を貶め、傷つけあう。

はたから見たら異常ですが、渦中になると自分もどうなるかわからないと思うと、身震いがします。


講演者の一人の方は、
「これは原発を立てる立てないの問題ではないのです。私たちのようにならないでください。本当はこう人前で話すこともしたくない・・・私たちは、あまりにもズタズタになったのです。」
と、それ以上話すことができませんでした。


正直、彼らの重く辛い闘いの話を聞いて、どうしてよいのかわかりませんでした。受け止めるには自分は小さすぎました。

ただ、おばあちゃんの家の近くの海が頭に浮かびました。

ああ、あれは命の海なんだ。
多くの人が多くの犠牲を捧げて守り抜いてきた海なんだ。

そういう言葉にならない積み重ねの上に、私たちは生きているのだと思いました。

明日、みなしまのおばあちゃんの家に行こうと思いました。