尊敬する人
尊敬する人は、と聞かれたら、真っ先に緒方貞子さんと答えるようにしている。
国連難民高等弁務官事務所の代表として、ルワンダ内戦やユーゴスラビアの民族紛争で苦しむ難民の保護に尽力された方だ。
高校時代に憧れていたけれど、日々の生活に埋もれてしばらく頭から離れていたが、8月17日、NHKスペシャルで緒方さんの特集を見て、また鳥肌がたった。
63歳〜73歳の10年間、UNHCRのトップを務めあげたという経歴もさることながら、自ら考え、リーダーとしての資質を鍛えた聖心女子大学時代、日本の戦争に疑問を持ち、徹底的に追及した大学院の研究、現場を見据える外交官であったお父様の存在…すべてが、彼女の一つ一つの大きな決断に繋がっているのだと痛感せずにいられなかった。
彼女は、未だに世界が経験したことのない大きな難民問題に対して、当時の国際社会で考えられないような決断を次々と下した。全ては難民保護のために。
各国が抱える問題であると同時に、国際社会の狭間で動く弱者である「難民」に真っ正面から向き合う。彼らを人間として救うことを使命として、「難民」の定義を問い直し、時には銃弾飛び交う現場に赴き、時には軍と協力して、難民キャンプの治安維持や救援物資の提供などを行った。
弱い立場の人間に向き合う姿勢。
彼らに対する大いなる尊厳を持って。
そして、その彼女を支えているのが、ぶれない軸と徹底的に追及する知性と強いリーダー意識だ。
本当に尊敬に値する。
小さなことにくよくよしている暇はない。
世界は広い。
もっと色んなことに尽力できるし、感動できる。
社会へのインパクトは小さくても、私も緒方さんのような生き方ができたらいい。