南伊勢と私
南伊勢町には暮らしと経済を、日本の未来を考えるヒントが詰まっている。
南伊勢町の高齢化率は43%。2030年には50%と言われる。
典型的な限界集落予備軍だ。
限界集落とは、65歳以上の高齢者が50%を越えた集落のこと。過疎地域等の6万2271集落のうち、10年以内に消滅する可能性のある集落が422、10年以降に消滅する可能性のある集落が2219と予測されている。(2006年総務相調査)
きっと10年後、20年後、若者が出て行った町で、後継問題がたくさん出てくる。技術、家、畑、…今まで各地でたくさんの先人が担ってきたものを、受け取る人がいなくなる。
子や孫世代はどこにいるかというと、シューカツに象徴されるような経済競争にさらされるわけで。それでも、賃金収入に安定を見出している限り、都市のお勤めに出るわけで。
先人がつないできた日本の田舎には、カラオケやショッピングセンターはないし、大学もないし、大きな会社もないけれど、都市では手に入らない宝物が溢れている。安全な水や土地、人のつながりなどなど。簡単に金銭換算できないけど、生きることに直結した資源。
これを手放してしまったら、私たちは、なおのことお金や他者に依存する生き方になってしまう。
だから、すぐにはお金にならなくてもつないでいくんだ。
残された田舎の暮らしを。
今すぐ受け継げなくても、リレーのバトンを受け取る準備をしているのだと思って、共に暮らす時間を紡いでいく。
そんな彼女の願いに重ねるように、日々を重ねていきたい。住む人の心が過疎になるのではなく、希望の光が灯るように。
田舎暮らしは、即時的に流行るものじゃないんだ。土地との関係も、自然との関係も、人との関係も、ゆったり、じっくり、作っていこう。