ダーシェンカのパン教室卒業
ダーシェンカのパン教室を一旦卒業することにします。
教室を始めたのは、半年前。
みなしまでパン屋を始めるために、天然酵母パンを焼く技術を身につけるために通い始めました。
長野のパン見習いを一旦終えて、地元に拠点を戻してから考えようとしていたところでした。
パンの技術を上げることと同時に、自分と地域が共にあることが大切だと思ったのです。モモで働きながら、地域の話になる度に、伊勢なら…南伊勢なら…家族なら…そんな思いが断ち切れなかったのです。
だから、先は見えなかったけれど、地元に帰ることにしたのです。
帰ったはいいけれど、当時の私はまだそのまま納得して仕事ができる気がしなくて、拠点を地元に置きながら、天然酵母パンの勉強を続けようと思ったのです。
そこで、探しに探して通える範囲で見つかったのが、愛知県のダーシェンカでした。
元教員というオーナーは、ご自身の病気の経験から、食や地域への想いを天然酵母パンのお店を始めた方です。
オーナーのエネルギーがそのままお店に乗り、大人気のパン屋さんです。四店舗はどこもお客さんでいっぱい、教室もキャンセル待ちが相次ぎます。
お店に行くたびに新しいパンが並び、いつもいい香りがぷぅーんと漂っています。
私はここで、パン作りの楽しさを学びました。小さなコツを惜しげもなく丁寧に教えてくださる先生方、遠くから来て大変でしょ、と駅まで迎えに来てくれる同期の方。みんなでワイワイ作ったパンは、どれも愛らしく、美味しい。自分でもこんなにできるんだ、と感動したことを鮮明に覚えています。パンの入った袋をワサワサ抱えて電車に乗ったのが、いい思い出。帰って、家族や友達と一緒にパンを食べるのも楽しくて、本当、朝5時に家を出るのも苦じゃなかった。
でも、もう「役に立たないから技術を身につけなきゃ」という考えは、私には必要ないかな、と思ったのです。
一流の技術がなくても、なんとか家でもパンが焼けるようになったし、南伊勢で大好きな仲間とパンを作って販売するという機会が巡ってきたのです。
十分目的は達成されたのです。
大切な人と素晴らしい時間を過ごすという意味では、何一つ後ろめたさを感じる必要はなくなったのだから。
役に立つ人間になるためにかけてきたお金や時間を、もう少し南伊勢やNIUの活動にシフトしようと思いました。
自分という人間が変われば、行動が精査されていくのは、当然のことかもしれません。
成長したら着ていた服が小さくなるように。その時その時の自分に合わせて、ふさわしい選択をすることが大切なのでしょう、きっと。
出逢いがあれば、別れもある。
自分を振り返り、得たものに感謝して、気づかせてもらえたことに感謝して、次に進もうと思います。
ありがとうございます。